院長ブログQ.発毛治療薬『ザガーロ』は子作りに影響がないの？

Doctor blog

Q.発毛治療薬『ザガーロ』は子作りに影響がないの？

2017.02.25

AGA、薄毛治療

Pocket

Key Words：発毛　育毛　頭皮注射　育毛メソセラピー　薄毛　AGA　HARG療法　ヘアフィラー　

　　　　　　頭皮プラセンタ注射　抜け毛　発毛治療　白髪　増毛　髪を増やしたい

プロペシアの次に処方が開始されたAGA治療薬『ザガーロ』。

発毛にも効果が認められたため、プロペシアを長期に服用していて、さらなるステップを求める方にオススメしていますが

ここのところ最初からザガーロで薄毛治療を始めたいと希望する方が多い状況です。

その際に『子作り』に影響がないのか？という質問です。

この質問の中には

①ザガーロで性欲が落ちて、子作り行為ができにくくなるのではないのか？

②ザガーロの成分が精子に影響が出て不妊につながらないのか？

この２つの意味で聞かれていることと思います。

まずその答えですが

①の答えは、性欲は落ちませんのでご心配には及びません。なぜなら男性ホルモンの１種にすぎないDHTが性欲と直結するわけではないのですから。

あくまで毛包に作用し薄毛に関与することしか認められていません。

またED（勃起障害）になる確率もザガーロを服用していない群と比較しても有意な差はみられませんでした。

②の答えは、つまりはザガーロに精子移行性があるか？という質問に置き換えられると思います。

ここでザガーロの添付文書及びインタビューフォームを参照します。

臨床用量でヒト精液中に最高14ng/mlの濃度注1）で検出（デュタステリド0.5mgを反復経口投与したとき、精液中/血清中薬物濃度比は平均11.5％）されていることから、妊娠初期あるいは妊娠している可能性のある女性が、カプセルから漏れた薬剤に接触あるいは精液を介して偶発的に曝露された場合に、男子胎児の外生殖器の発達が阻害される可能性がある。しかしながら、精液を介した曝露に関しては、精液中（精液量：5ml）の未変化体が子宮及び膣粘膜より100% 吸収されると仮定した際の女性（50kg）における曝露量の約186 倍（2010ng/ 匹/ 日）を、5α還元酵素のアミノ酸配列及び生化学的特性がヒトと類似しているアカゲザルの器官形成期に静脈内投与しても、雄胎児の雌性化は認められなかった。また、本剤はヒト血漿中及び精液中蛋白との結合率が高く（>96%）、子宮・膣からの吸収量が低下することが考えられることから、精液を介した子宮曝露によりヒト男子胎児の外生殖器の発達に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。

つまり、ザガーロの反復投与を繰り返した場合、精液で最大で１４ng/mlの濃度が確認され、非常に微少ではあるものの精液にその成分が混ざる可能性があります。しかし、動物実験で胎児に発達に影響は認められませんでした。

そして①と②を踏まえて、ザガーロは子作りの際に服用を中止するべきか？

実際に人間の胎児に影響があるかどうかを検証することはできないため5α還元酵素のアミノ酸配列及び生化学的特性がヒトと類似しているアカゲザルを対象に実験した上ではザガーロを精液を介して母胎に吸収されるであろう最大曝露量の186倍アカゲザルに投与しても雄胎児への異常はなく、一般製剤も同様に臨床実験を行っていることを考えると、子作りに積極的に服用を止めなければならないということはないと考えます。

しかし妊活はメンタル面でも大きな負担がありますので、万全を期したい場合は服用を一時ストップする選択もあると思います。

服用を止めるのであればザガーロの１年間以上の反復投与の場合、体内から消失半減期は3.4±1.2週間とプロペシアより長く、子作りをする１ヶ月くらいから服用を止めた方が良いでしょう。